4年で10億!地方後発チームの成功事例「レノファ山口」
4年で6.5倍の成長!一気に10億へ乗せたレノファ山口
過去5年間で最も大きな成長率を示したレノファ山口について、あれこれ調べて見ようと思います。
2006年にJリーグ参入を目指し立ち上がったレノファ山口。なかなかJFLに昇格できませんでしたが、J3発足に伴いJFLの加入が認められると、そこからはJ2までトントン拍子に昇格してきました。
大きな企業の後ろ盾もなく、地方から後発でのJリーグ参戦。苦戦しそうな要素が多いように思われますが、成績もさることながら、事業面でも成功を収めています。
そもそも2013年に発表されたレノファ山口の中長期計画では*1、2018年のシーズンからJ2参入、2018年の財政は2億円程度を目標としていました。2017年度のシーズンはJ2の残留争いをする苦しいシーズンでしたが、営業収益は10億円を突破し、中長期計画に対する実績としては、十分な実績と言えるでしょう。
デロイトトーマツコンサルティング社が実施しているJリーグマネジメントカップの2016年度版でも、J2で1位の評価を受けており、事業としての成功をしていることがわかります。*2
基礎情報
ホームタウン:山口県全域
ホームスタジアム:維新みらいふスタジアム(山口市)、下関市営下関陸上競技場*3
発足:2006年
Jリーグ加盟:2015年度
最高順位:2016年 J2 12位(Jリーグ全体の30番目)
最大営業収益:2017年 10億 (Jリーグ全体の32番目)
トップチームのカテゴリー:J2
ユースチームのカテゴリー:山口県ユースリーグ1部
J3設立以降に参入したクラブの状況まとめ
J3設立以降に参入したクラブは12クラブ。そのうち、J2へ昇格したのは、2016年にツエーゲン金沢。そして、2017年のレノファ山口です。どちらのクラブも昇格後の初年度はJ2でも奮闘し、J2の中位の成績を収めましたが、その年のオフに主力が大量に引き抜かれ翌年は降格圏ギリギリでJ2残留をするという流れになっています。(下図参照)
ツエーゲン金沢とレノファ山口のどちらのクラブも、J2への昇格時に大きく営業収益を伸ばしています。しかし、ツエーゲン金沢はその後は、ほぼ横ばい。対してレノファ山口は、翌年もそこそこの成長を遂げており、レノファ山口の躍進は、昇格による成長だけではないように思われます。
4年間の変化
4年間でどう営業収益や営業費用が変わったのかを見てみたいと思います。
営業収益は、広告料収入が順調に伸びています。J2昇格に伴い、2016年度→2017年度で約2倍に伸びています。Jリーグ分配金もJ2昇格に伴い大幅に増額しています。入場料収入と物販は成績と相関していそうで、J2初参入ながら躍進した年と比較し、翌年の残留争いの年は下がっています。
営業費用で最も増えているのはチーム人件費で、完全なプロ化やJ2昇格・残留と必要なコストとして増えているように思われますし、他のクラブと比較しても営業収益に対する割合としては適切な範囲なのではないかと思われます。
レノファ山口のオフィシャルパートナーの所在地一覧
かなり地道な作業でしたが、2018年9月断面における、レノファ山口のオフィシャルパートナー*4の所在地を検索してGoogle Mapにプロットしてみました。(法人サポーターは多すぎて無理っ!)基本的に山口県に所在地がある場合は、そちらを優先していますが、そこまで正確性を重視していないので、誤った情報もあるかもしれません。見方としては、オレンジ→オフィシャルトップパートナー、グリーン→オフィシャルプレミアムパートナー、ブルー→オフィシャルパートナー/サプライヤーとなっています。
傾向としては、山口県全体をホームタウンとしていますが、オフィシャルパートナーとなっている企業は、ホームスタジアム周辺にあたる、山口市と下関市に集中しており、北部・東部では数件のみとなっています。これは営業戦略として重点的に行なってきた結果であり、今後は県内全域に広めていくことが想定されます。まだまだ県内の営業する余地がありそうですので、今後もある程度は広告料収入が伸びていくのではないかと思われます。
今後の展望
J3設立以後に参入したクラブの中では、一番成功したクラブだと言っても良さそうなレノファ山口ですが、今後も同じペースでJ1までたどり着けるか?と言うと、厳しいのではないかと思います。
すでに20億円以上の営業収益があるクラブがJリームには19クラブあり 、首都圏を中心に大きな資本による投資が活発化しています。地道な営業活動で県内の営業を行って広告料収入を伸ばしても、ビッククラブとの差は広がる一方だと思われます。大きな資本の後ろ盾を得ようにも、地方ではなかなか難しいでしょう。よくユニクロについて言及されますが、ユニクロのパートナーはトップレベルの選手なので、投資的な支援は望めないと思われます。
レノファ山口も地域に根づいた育成型クラブを目指していることから、アカデミーへの投資が積極的になるのではないかと思われます。営業収益や順位だけではなく、アカデミーへの投資額、ユースの所属するカテゴリー、ユースからの昇格人数なども評価していくべきなのではないかと。
*1:http://www.renofa.com/php/upload/page/00119/f001.pdf
*2:
ちなみに2017年度版では、J2で5位
*3:2017年度の利用割合 維新みらいふスタジアム 19回、下関市営下関陸上競技場2回
*4:パートナー一覧: