Jリーグのクラブごとの収益構造について
Jリーグに所属する各クラブの収益構造を見てみようかと。
ヨーロッパのクラブとの比較を行いたいのですが、フットボールマネーリーグでの集計単位とJリーグの集計単位が異なるため、ちょっと雑ですが、以下のように対応付けて見てみることにします。
Jリーグ | フットボールマネーリーグ |
---|---|
入場料収入 | Match day |
Jリーグ分配金 | Broadcast |
広告料収入 | Commercial |
アカデミー関連収入 | |
物販収入 | |
その他収入 |
カテゴリー別の収益構造
カテゴリー全体の収益構造は上図のようになります。上のカテゴリーほど入場料収入や物販収入の割合が高く、下のカテゴリーに行くほど広告料収入の割合が高くなっています。
課題は放映権料(=Jリーグ分配金)の割合の低さです。フットボールマネーリーグによれば、ヨーロッパのトップチームの場合、一番割合の小さいクラブでも30%は放映権料による収入となっています。放映権料の割合が大きいクラブは、80%以上が放映権料の収入となっているクラブも存在します。Jリーグで一番割合の高いクラブが甲府の25%とまだまだ、ヨーロッパと比較すると低い水準です。昨年の優勝チームである川崎に対し、理念強化配分金が10億円分配されたとしても25%ですので、DAZN効果が反映されてもヨーロッパ水準には到達できません。
Jリーグとしても、より高い放映権料を得るための施策をいくつか実施していると思われます。例えば、提携国枠*1の設立です。主に東南アジアが中心ですが、外国人枠の扱いでなく起用することができる枠を用意しています。提携国の代表クラスがJリーグで試合に出場することで、ブランディング強化を行っているわけです。アジア大会で良い戦いを見せていたベトナム、マレーシアなどの選手を獲得してくるクラブが出てくるといいのですが。
J1クラブの傾向
クラブ単位に見ると特徴的なのが、ヴィッセル神戸/大宮アルディージャといった広告料収入が60%を超えるクラブ。
ヴィッセル神戸はポドルスキーの年俸(7億)として補填されているのではないかと。2018年はイニエスタの年俸(32億)を賄う必要があるので、さらに伸びているのではないかと思います。まあ、イニエスタ効果で入場料収入や物販もある程度伸びるのではないかと。
大宮アルディージャはなんで高いんでしょうね?メインスポンサーがNTTグループだからでしょうか?
あとどのカテゴリーもそうなのですが、予算が小さいクラブほどJリーグ分配金の割合が高くなる傾向にあります。予算の小さいクラブには、とてもありがたいJリーグ分配金。リーグ全体の魅力を上げて、予算規模の大きいクラブでも大きな収益の柱となるようになってほしいところ。
J2クラブの傾向
J2では、名古屋グランパス/ジェフ千葉/京都サンガFC/徳島ヴォルティスの広告料収益が60%を超えています。ある程度大きな都市の象徴となるクラブなので、高くなっているのかな。徳島ヴォルティスは大塚製薬の出資によるものでしょうか?よくわかりません。
モンテディオ山形はその他収入が47%と非常に高くなっていますね。なんだろうと思って調べてみたところ、2014年から天童市にある山形県立総合運動公園の指定管理事業をやっており、それがその他収入になっているもよう。現に2014年度からその他収益が倍増していました。アビスパ福岡も高い値を出しているのですが、その要因は調べてみたがわからず。2015年度から増えているのですが、これは何なんでしょうね?
J3クラブの傾向
J3では元々の規模が小さいからか、かなり収益構造にばらつきが見られます。特徴的なのはアカデミー関連収入が45%と非常に高い割合を占めているYS横浜でしょうか。設立の目的からしても生涯スポーツを謳っているので、アンダー世代以外の社会人世代に向けて行っている事業の収入が大きいのかと。
いろいろ調べてみた新しい発見は、モンテディオ山形の指定管理事業ですね。今後はスタジアムに併設した商業施設の収入とかが大きくなってくるクラブも出てくるのでしょうね。